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WEB制作の打ち合わせをスムーズに進める7つのポイントおさらい。

WEBサイト構築にあたり、クライアントとの打ち合わせがスムーズに進むかどうかは非常に重要なポイントとなります。どんなに優れたデザイナー、プログラマーが実務に携わったとしても、クライアントと接する担当ディレクターやデザイナーによって要望や方向性が歪んでしまってはプロジェクトは迷走してしまいます。

デザイナーがクライアントと直接打ち合わせを行う機会は多いと思いますが、「そんな頻繁に外に出ないし経験も少ないから苦手だなぁ」というデザイナーさんへ、自身への反省や基本再確認も含めて、打ち合わせをスムーズに進めるポイントをまとめました。

打ち合わせの前に。

 
●1.事前準備をしっかりと。初回打ち合わせ前にクライアントと情報共有を。

「詳細は打ち合わせ当日に話しましょう」となるパターンも多いと思いますが、出来るだけ打ち合わせ前にお互い情報共有する事が、当日の打ち合わせをスムーズにしてくれます。

初回打ち合わせなら、事前にヒアリングシートを送付しておくだけでも、打ち合わせ当日にはある程度の回答が得られますし、打ち合わせの目的や確認事項を事前に連絡しておく事も重要です。

また同業ライバル企業のサイト状況等、事前にクライアント社内で検討できるような資料も合わせて送付するとより親切です。

●2.質問したい事を事前にまとめておく。そして一度「頭の中でシミュレーション」を。
クライアントの問題解決を目的に要望をお話いただくのですが、それだけでは単なる御用聞きになってしまいます。そこで気になった事、わからない事は打ち合わせ当日に恥ずかしがらずに質問し、話の内容を深く掘り下げていきます。これらをスムーズに進める為にも、事前に「頭の中でシミュレーション」しておく事をお勧めします。

●新規制作やリニューアルの話が上がったきっかけ。
●最重要目的。
●改善したい問題点。
●その業種・業界(ライバル社)の動向。
●その企業様の特徴。
●現在の客層、拡大したい客層。
●CM・雑誌・チラシ等の各種メディアでの広告展開について
●実店舗で展開されている広告ツール。
●見本・参考にしたサイトを選んだポイント。

など、ホームページ制作以前の、業界や企業様自体を知ることが重要ですので、質問を繰り返しクライアントの現状を把握していく過程を思い描きます。

この様に現状把握を行う事で、WEBを含めたメディアでどんなアプローチが出来るか提案をまとめやすくなります。ここは常日頃からアンテナを張ってないといけませんね^^;

緊張してしまう方は、この様に事前に質問したい事をまとめておき、頭の中で打ち合わせをシミュレーションしておくと気持ちが非常に楽になります。

 

打ち合わせ当日

●3.顔合わせ。まずは第一印象を良く。
クライアントとの初対面時の印象で、以後の関係が大きく左右されます。
吉原 珠央さんの著書【「また会いたい」と思われる人の38のルール】でも記載されておりましたが、どんなに実力のある人物でも、ぼさぼさの頭、しわしわのシャツ、よごれた靴で小声の挨拶で登場されては不安がよぎるものです。清潔感のある格好で通る声での挨拶を心がけます。

また「本日はお時間をいただきありがとうございました」等、まず感謝の気持ちを伝える事も大切です。

第一印象を良くする事で以後の話の説得力に違いが現れます。

●4.打ち合わせ目的を共有。冒頭に「打ち合わせの流れ」「確認事項」を説明。
プレゼンの冒頭と同じく、今日の打ち合わせは
「どういう進め方をして、何を確認するのか」
をはっきりさせます。
また終了時間も宣言しておくと時間を有効に使う意識が現れます。
こうする事で参加者の意思統一を図る事ができ、時間だけ費やして何も決まらない打ち合わせになるという事を回避できます。
※ここで上記1の確認事項の事前送付などを行っていると、当日の話がスムーズなのです。

●5.デザインは理論的に詰め、お互いの着地点を見つける。
打ち合わせ当初は「クールで情報を絞ったかっこいいサイトにしたい」と感覚で言われていた担当者も、お話を伺い、質問や提案を重ねる事で、理論的にデザインやサイト構成を詰める事ができます。
「自社ブランドやターゲットを考えると、ナチュラルテイストで情報を充実させた方が効果が期待できる」
という様に、当初とまったく違ったビジュアルコンセプトになる事があります。

ここはサイト制作を請け負う側の責任でもありますので、クライアントの意見も尊重しつつ、事の本質を引き出す事を心がけます。※提案の押しつけにならない様に注意です。

デザイン確認で何度も何度もデザインのやり直しになる場合があるかと思いますが、
それは「かっこいい」「かわいい」「好き」「嫌い」など、担当者の感覚だけで打ち合わせを進めてしまうと発生しやすい問題です。デザインの背景をクライアントと共有し、どういう理由でこのデザインになっているのかを理解して頂く事も重要です。
※もちろんビジュアルのクオリティも重要です^^

●6.WEB制作の進行内容をしっかり分かりやすく説明する。
WEB制作に慣れてらっしゃるクライアントなら、納品までの流れや専門用語も理解されている為、問題ないのですが、WEB制作委託に慣れていないクライアントには、WEB制作の進行について分かりやすく説明を行います。

特にWEBの場合は完成間近にサイト構成に大きな変更依頼が入ると、コスト、納期的にも致命的なダメージとなりますので、その点をしっかりと説明し理解いただく事が重要です。
私はサイト制作を「家つくり」に例えて説明し、初期のコンテンツ設計、デザインの確定がどれだけ重要かを説明します。

★どういったサイト構築方法にするか
形の決まったテンプレート利用のローコスト規格住宅型サイト?
完全自由設計の注文住宅型サイト?

★サイトコンテンツ構成は住宅の間取り図。最初の設計が重要。
家を建てる時は
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・1.ライフスタイルから住宅コンセプトを決める
・2.予算を決める
・3.間取りを決める
・4.デザイン(外観や内装)を決める
・5.オプション装備を決める

以後の変更対応は基本的に不可。(変更には別途料金と納期の見直しが必要)

・6.工事着工
・7.完成&最終確認
・8.引き渡し
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といった流れとなりますが、WEB制作にも当てはまります。

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・1.ホームページを活用してどの様な問題解決を行いたいかコンセプトを決める
・2.予算を決める
・3.サイト構成(コンテンツ)を決める
・4.デザインを決める(デザインカンプにて)
・5.オプション(更新機能等のシステム制作、FLASH、ソーシャルメディア連携、等)を決める

以後の変更対応は基本的に不可。(変更には別途料金と納期の見直しが必要)

・6.制作開始。(コーディング&システム)
・7.完成&最終確認
・8.納品
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家を建ててから間取りを変更したり部屋を追加するのは、もう一度最初から家を建て直すのと同じ位労力が必要となりますが、WEBサイト制作も同じく、完成間近でのコンテンツ追加や削除、コンセプトの変更は、もう一度サイトを作り直すのと同じ位の労力がかる事を説明し、完成間近での変更には大きな費用と労力がかかる事を理解していただき、ステップ毎にしっかりとクライアントに確認をして頂きます。

●7.お金の話。見積りの根拠を具体的に説明する
WEB制作の見積りはほとんどが人件費の為、「1ページ○○円」「一式○○円」や「○人日○○円」といった見積り表示が多くなってしまいます。
以前「なぜ見積りに端数なくどんぶり勘定みたいな金額なんですか?」と質問を受けた事がありましたが、その時は「作業にかかる想定時間は○○時間で、スタッフの作業費は1時間○○円での算出となっている為その金額なのです」と、同業他社様の見積りサンプル(WEBに公開されている見本)と合わせて、金額の根拠を説明し、ご理解いただきました。

特にシステム制作等、表に見えない作業についてはクライアントも提示金額が高いか安いかの判断が難しい為、実際に行う作業の詳細説明や他社金額例も含めて、できるだけわかりやすい説明を心がけます。

●おまけ.仕事以外のお話でより担当を知る。
仕事の話がまとまり区切りがついた時など、クライアントとの距離を縮める為にもプライベートな事などお話します。
腕時計の事やかばんについているキャラクター、趣味、スポーツの話等、気付いた事をきっかけにお話しする事で、仕事とは違った担当の一面を感じる事ができます。
良い意味で距離を縮める事ができますので、今後の仕事の進行にもプラスになります。

以上、ほとんどあたりまえの事ばかりですが、打ち合わせをスムーズに進める人ほど、その場の話術ではなく、しっかりとした事前調査、シミュレーションを行って誠意をもって打ち合わせに臨んでいるものです。
自分自身、より最適で魅力的な提案が出来る様に精進したいと思います。